トイレの話をしよう ~世界65億人が抱える大問題
日本ではハイテク化が進み、アメリカや中国ではバイオ肥料など、排泄物の有効利用が脚光を浴びている。一方、トイレがない、あるいは、あっても汚すぎて道端でしたほうがましという人も、世界には26億人いる。「なぜ、トイレ?」という周囲の冷たい視線をよそに、突撃型の女性ジャーナリストは、トイレを追いかけて西へ東へ大奔走!英『エコノミスト』誌の2008年ベストブックス選定図書。
本書より一文
2007年の春、アイルランドの西海岸にあるゴールウェイという世界的な文化都市が、クリプトスポジウム危機に陥った。クリプトスポジウム菌は人の糞尿を介して伝染する。おかげで5ヶ月もの間「ケルトの虎」の異名をとるほどの豊かな町に住む人びとが、飲み水に不自由することになった。
このクリプトスポジウム危機で私が興味を引かれたのが、150年近く下水処理をしている先進国の都市が、突然、きれいな飲み水を市民に提供できなくなったにもかかわらず、アイルランド以外の諸外国でこの醜聞が問題にされることがなかった、という点だ。
目次
口に出して言えないものを調査する
「おしりだって洗ってほしい」 ロボトイレット革命
この香り、水路(カナル)の5番だぜ 下水道ツアー
トイレを見れば、あなたがどんな人間かわかります 26億人と”トイレ大臣”
さあ笑顔を見せて、トイレに着きましたよ カースト制と闘う人々
寝室には豚を 中国のバイオガスブーム
個室にプライバシーはある? 世界の公衆トイレ
ミルクセーキからケーキへ 下水から生まれた肥料
求む、夫。ただしトイレをもっていること 野外排泄ゼロをめざすインド
貧しい人は、下痢をする余裕もない スラムの片隅で
そろそろ糞尿について話し合うときがきた 宇宙、経済、リサイクル
書評
「セックスについて率直に語る事なくして、エイズの問題を話し合うことは出来ないように、衛生の問題も「糞」について率直に語り合うことなしに、話し合いを進めることはできない」。
著者のはっきりした物言いは、面白可笑しくも、問題点をズバリと突き詰める。時間を忘れるほど内容に引き込まれて行く。人は一生の内トイレで3年間過ごすという。トイレに入り排泄をするたびに、この本のことを思い出しそうだ。
しかし、世界の先進都市における下水処理の未整備の状況には驚くばかりだ。
著者について
ローズ・ジョージ Rose George
ロンドン在住のジャーナリスト。リベリアの避難民について書いた処女作”A Life Removed”が、ルポルタージュ作品のための賞「レトル・ユリシーズ・アワード」の最終候補に残る。『ガーディアン』紙、『インディペンデント』紙、『ニューヨークタイムズ』紙などで記事を執筆。
故サダム・フセイン元大統領の誕生パーティーや、コソボ紛争などを取材した。
本書は、英『エコノミスト』誌の2008年ベストブックス選定図書である。

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