奇跡のエコ集落 ガビオタス

1967年、南米コロンビア。政情不安定なこの国で、しかも誰もかえりみないような不毛な大平原の中に、若き活動家のパオロ・ルガーリは最初の居を定めた。「ここで人が暮らせるなら、どこででも暮らせる」
理想に燃え、または言葉巧みに連れてこられた学者、技術者、音楽家、農民たちは、資源に乏しい土地で知恵を絞り、次々と画期的な環境技術を編み出し、コミュニティを発展させていく。クリーンな水とエネルギー、水耕栽培の新鮮な野菜を手に入れ、学校や病院を建てた彼らは、のべ600万本にのぼる植樹で砂漠の中に森を生み出し、そこからまた新たな産業をも生み出している。エネルギーの自給自足と炭素の排出量ゼロをなしとげ、人々が平和に幸せに暮らしている奇跡の集落ガビオタス。

本書より一文

ガピオタスの人々の働きぶりはその社会と同じくらいすばらしい、とパオロは会う人だれにでも自慢した。大学の学位を持たない男女が、この国でもっとも進んだ林業を学び、コロンビア政府の林業プログラム全体よりも多くの木を植林している。その上現代的な工場まで運営しているのだ。働き手が権限を持ち、製品の所有権を持ち、その品質に自信を持つ。
今後3年間で、林業とその他数々のプロジェクトのために、少なくとも500人が必要となる。科学者たちが新しい薬草研究所にやってくるだろう。

書評

「文明は人間と水の終わりなき会話だ」
パオロ・ルガーリは本書でこう発言している。アンデスからの流出水が砂地層で濾過されたきれいな地下水を手に入れることに大変尽力している様子が興味深い。最初の試みは人間が発明した最古の水力機械「インダクションポンプ」から始まり、独自に実験と改良を重ね、最良の装置を作り上げて行く。
水以外にもエネルギーや食料などの安定調達に苦労する中、毎週水曜日と金曜日に休暇を取ることもルール化している。ガピオタスの人々は「なまけもの」の集団ではなく、オンタイムはしっかりとハードワークする。上昇志向も持っている。エコ集落やエコビレッジという名称はフィットしないかも。ガビオタスは、新興国の経済発展の一つのモデル事業と捉えるべきではないか。スペイン大統領も視察に訪れているが、先進国による従来型のODAからの脱却が必要だと思う。

著者略歴

ワイズマン,アラン
ジャーナリスト。1947年ミネソタ生まれ。「ハーパース」、「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」、「ディスカバー」など数多くの新聞、雑誌に寄稿している。アリゾナ大学で国際ジャーナリズム学を教えるほか、ホームランズ・プロダクションでドキュメンタリー番組制作を手がけている。代表作『人類が消えた世界』(早川書房刊)は、タイム誌の2007年ベストノンフィクションに選ばれたほか、Amazon.comやiTunesオーディオブックの年間ベスト (ノンフィクション部門)でも第一位となっている。日本でもベストセラーとなり、多くのメディアに取り上げられた。現在は、彫刻家の妻とともにマサチューセッツに住んでいる



この本に関するコメント

“奇跡のエコ集落 ガビオタス” へのご感想・ご意見