雑食動物のジレンマ
料理界のアカデミー賞とも言われるジェームス・ビアード賞最優秀賞(食関連著作部門)、カリフォルニア・ブック賞(ノンフィクション部門)、北カリフォルニア・ブック賞(ノンフィクション部門)を受賞し、全米批評家協会の最終選考作に選ばれた本書は、『ニューヨーク・タイムズ』の10 Best Books of 2006、『ワシントン・ポスト』のTop 10 Best of 2006、Amazon.comのBest Books of 2006に選ばれるなど、発売早々から各種メディアで話題の書として注目され、現在もベストセラーリストの上位にランクインしています。
健康食ブームなのに増え続ける肥満や糖尿病、旬に関係なく食材が並ぶスーパーマーケット、工業化する有機農業、便利で簡単に料理ができる食品の開発、農業収入では生活できない農家、経済効率を求めた大規模農場や単一栽培……。同書に描かれている内容は、もちろん、アメリカの食と農業についてのことですが、読み進めるうちに、日本も変わらないのではと思えてきます。
本書のタイトルにある「雑食動物」とは、植物でも動物でも何でも食べる動物、つまり私たち人間のことです。何でも食べることができるので、人間はどのような環境でも生きてこられたわけですが、同時に何を食べるべきなのかと頭を悩まし続けきました。コアラのようにユーカリの葉しかたべない動物とは違い、自らの健康や、地球環境に害を及ぼすものでさえ食べることができるのですからなおさらです。
書籍の内容
私たちがいつも口にしているものは一体何なのでしょうか? それはどこからどうやって食卓まで来たのでしょぅか? 私たちが食べるべきなのは、簡単で便利な冷凍・加工食品なのでしょうか? オーガニックフードなのでしょうか? その答えを見つけるために著者は、4つの食事[
「ファストフード、オーガニックフード、フードシェッドフード、スローフード」の食物連鎖を追いかける旅に出ます。
いつもの食卓に並ぶ野菜や肉など、誰もが口にしている食べ物の食物連鎖を求めて、トウモロコシ農場から食品科学研究所、肥育場やファストフード店から有機農場や狩猟の現場までを案内し、私たちが正体を知らないまま口にしているものが何か突きとめます。
そして、最後にたどり着いた完璧な食事とは?
雑食動物を英語で言うとomnivoreですが、この言葉には、雑食動物のほかに、「幅広分野に好奇心を持ち、あるものは何でも読み、勉強し、概して吸収する者」という意味があります。私たちが食べているものの食物連鎖を知るということは、私たちが何を食べるかという選択が、地球温暖化などの環境問題にもかかわっていることも知ることになります。同書は、私たちの健康のためだけでなく、自然界の健康のために、私たちが何をどのように食べるべきかという知的好奇心を刺激してくれます。
著者紹介
マイケル・ポーラン
ジャーナリスト。食や農、ガーデニングなど人間と自然界が交わる世界を書き続け、ジェームス・ビアード賞、ジョン・ボローズ賞、QPBニュー・ビジョン賞、ロイター&国際自然保護連合環境ジャーナリズム・グローバル賞、全米人道協会ジェネシス賞など数々の賞を受賞。本書でも、カリフォルニア・ブック賞、北カリフォルニア・ブック賞、ジェームス・ビアード賞を受賞している。著書に『ガーデニングに心満つる日』『欲望の植物誌』『ヘルシーな加工食品はかなりヤバい』などがある。また、カリフォルニア大学バークレー校大学院でジャーナリズムの教鞭をとるとともに、食や農を中心に講演活動を行っている。妻で画家のジュディス・ベルザーと息子アイザックとバークレー在住。

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